コラム

2024-09-25 00:00:00

【追悼】 Mr. Emmanuely D Lyimo, Partnerships and Resource Mobilization Manager, TADB

去る9月15日の夕方、私が2022年2月〜2024年4月の間アドバイザーとして従事していたタンザニア農業開発銀行(TADB、本部ダルエスサラーム)で大変お世話になったEmmanuely D Lyimoさんの訃報に接しました。

彼は名門ダルエスサラーム大学を卒業後、農業ビジネスコンサルを経て2020年TADBに入行、Partnerships and Resource Mobilizationの責任者としてドナー機関ほか外部とのコミュニケーションを担う、いわばTADBの顔とも言える存在でした。

どんな逆境に直面しても怯むことなく、前向きで陽気な彼の人柄には何度救われたかわかりません。また日本から持参したお菓子を並べた私のオフィスにコーヒー片手に立ち寄ってくれたり、私のアシスタントに「ウラデさんの着てるあのジャケットはどこのブランド?」みたいなことをこっそり聞きに来たり、とても人懐っこくチャーミングな彼の笑顔が忘れられません。

彼とは絶対また一緒に仕事したいなと思い、私の任期が終わったつい半年前にも再会を誓って別れたばかりだったのに、残念でなりません。2年超に及んだ私の仕事を支えてくれた彼の熱意と友情は決して忘れません。有難う、そしてお疲れ様、Emmanuely。どうぞ安らかに... 

浦出 隆行
JNEW合同会社CEO
タンザニア農業開発銀行/元農業金融アドバイザー

Untitled.jpg
2024-06-26 00:00:00

タバスキ(犠牲祭) in セネガル

GQNn9moWIAAQhSu2.jpg
現在出張に来ているセネガルでは、先々週末に「タバスキ」と呼ばれるイスラムの犠牲祭があり、この日は祝日でした。アッラーの導きにより息子イスマエルを犠牲にしたイブラヒムの神への服従を祝う日だそうで、メッカ巡礼期間でもある太陰暦の12月10日から3日間続くとのこと。

当日は皆さん夜明け前から新しい礼服を着るため水浴びした後、男性と子供は祈りを捧げ説教を聞きにモスクへ。そこではイスラム教の指導者がまず自分の羊をしめ、その後各家庭で購入してあった羊をしめるそうですが、この直前の期間は写真のように道沿いでたくさんの羊が売られています。値段は1頭当たり公務員給与2カ月分程度と一般家庭には結構ハードルが高い上、礼服の新調などで出費がかさみ、おカネの工面もタイヘン。

屠殺した羊の肉は、その日の食事と保存食にする以外は、病気や貧しい人向けに提供されるんだとか。またラマダン〜犠牲祭の間は慣習として「喜捨」を行なう義務があり、この羊肉のほか財産を持つ人は年収の2.5%を寄付するそうで、これはいかなる人も苦しんだり困ったりしてはならず、誰でも祭りに参加出来るようにするという考えに基づいたもののようです。

こういう信仰や風習が受け継がれてきた自然環境や文化的背景などにも思いを馳せて、「世界は広く文化は多様であること」を現地で実感するいい機会になりました。(浦出)
2023-11-06 00:00:00

タンザニア農業開発銀行(TADB)の新たな一歩

IMG_6977r.jpg  IMG_9950.jpg  IMG_6960r.jpg

 私(浦出)が2年間の契約でアドバイザーを務めさせていただいているタンザニア農業開発銀行(TADB)が、11月1日に中期経営計画(2023~27)及びフランス開発庁(AFD)の支援を受けた新商品の発表を行ない、私もそのプレス・リリース・イベントに同席して参りました。

同行はタンザニアの主要産業である農業向けの政府開発金融機関として2015年に設立され、直接融資や他行融資に係る信用保証を伸ばしてきており、同国農業を金融面から支える上で中心的役割を果たしていくことが期待されています。これを受け、アフリカ開発銀行やAFD、そして私を送り込んで下さったJICAといったドナー各機関が同行に対して金融面、技術面から各種支援を行なっています。

今回発表されたAFDの支援による新商品は大きく分けて、1) TADBが民間商業銀行貸出に際して供与する信用保証の強化版、2) 民間商業銀行との協調融資、3) 民間商業銀行を経由した転貸スキームの3つ。いずれも先進諸国では見慣れたものかも知れませんが、農業金融専業銀行として生まれてほどない同行にとって、その機能の幅を広げていく上では大きな一歩と言えるかも知れません。

私の任期も残すところ5カ月となりましたが、これらの支援が着実に実を結んでいくための地ならしのお手伝いをするとともに、今後日本政府が予定している資金面での支援が最大限の効果を上げるための種蒔きができればと、微力ながら日々頑張っております。

なお、TADBによるニュース・リリースはこちらよりご覧いただけます。(浦出)

2023-09-08 19:12:00

Africa’s Food Systems Forum (AGRF) 2023に参加して

IMG_9623.jpg   IMG_9637.jpg
IMG_9632.jpg   IMG_9647.jpg
スクリーンショット 2023-09-05 19.12.40.jpg

今週1週間にわたってタンザニアのダルエスサラームで開催された「アフリカ食糧システム・フォーラム2023」 (通称「AGRF2023」)に参加してきました。これはアフリカ全土から農林水産業関係者が一堂に会して各国の経験や知見を共有し、食糧問題の将来を議論するという毎年開催のイベントで、タンザニアからは大統領以下閣僚クラス、各国からも大臣クラスや業界団体トップのほかドナー機関なども参加している大型イベントです。

私自身は現在従事しているタンザニア農業銀行アドバイザー業務の一環として、特に農業金融に絡んだセッションを覗いてきましたが、当該分野における業界動向や関係者の関心事などについて最新状況に触れるいい機会でした。各種パネルディスカッションでは、1) Blended Finance、2) Value Chain Financeといったコンセプトや、3) テクノロジー活用の重要性に関するコメントを繰り返し耳にしました。

1)に関しては、農業が国の主要産業でありながらリスクを忌避した銀行の融資が向かいにくいことから、ドナー資金や投資家資金とセットにすることで銀行もコミットさせられるという視点が紹介されていました。VCやPEのエグジットも不十分な市場で、腰が引けた地場銀行をドナーはともかく投資家貸金が後押しするという発想は興味深いですね。

2)は農業や食品加工業、流通業をそれぞれ単体で評価するのではなく、バリューチェーンという全体観の中でリスクやポテンシャルを評価しようというもので、これは理にかなった方向性だと思います。

またこれらの動きを後押しするにあたっては、よりデータを重視した与信・投資判断が重要であり、そのためには投融資先である農家や加工・流通業者に関してビジネスの状況を正確に把握する必要が出てきます。例えば帳簿すらつけていない零細農家に目の子勘定で融資をするのではなく、スマホアプリで入力して作成された帳簿からビジネスデータを吸い上げて与信審査に活用するといった試みもあります。すなわち3)のテクノロジー活用ですね。

こうした流れに乗って、これまでバラバラで細切れだった小規模農家までをもフォーマル経済の中に取り込んでバリューチェーンに組み込んでいく上で、金融の果たせる役割もこれから益々大きくなっていくのではないでしょうか。グローバルな食料危機が注目を集める中、アフリカ各国がその受け皿となるべく覚醒しつつあるのは興味深い動きであり、今後も引続き注目していきたいと思います。(浦出)

2023-08-10 00:00:00

海外ホテル「イケてない設備」あるある

スクリーンショット 2023-08-10 13.28.11.jpg

職業柄、これまでの海外ホテル暮らしは恐らく2,500泊は下りませんが、旅先のホテルでかなりの頻度で目にする「使いにくい」或いは「殆ど使いものにならない」設備のツートップがこちら。海外に出掛ける機会の多い皆さんであれば、どちらも一度は見掛けたことがあるのではないでしょうか。


左の写真はバスルームにあるコンセントですが、「SHAVERS ONLY」となっていて、ヘアドライヤーには使えない仕様。鏡の前でドライヤーが使えないのはかなり不便ですし、だいたい今どきコード付きシェーバーなんか誰が使うのかという感じで、プレート上に描かれたこの絵を見るだけでイラッとしてしまいます。何かの利権が絡んだりしてるのかと勘繰ってしまいたくなるぐらいかなりの頻度で見掛けますが、ホント止めて欲しい...。

右の写真はクローゼットのハンガーで、フックをバーに引っ掛けるのではなく、バーに固定されたリングにピンを引っ掛けるタイプ。これに関しては日本のホテルでもよく見ますが、衣類を吊るしたハンガーを室内のちょっとしたところに掛けることもできませんし、暗いクローゼットの中でカチャカチャとピンをリングにはめなきゃならないのも煩わしい。恐らくハンガー盗難防止の観点から導入されたんだと思いますが、宿泊客の利便性を犠牲にしてどうするんでしょう?

以上、現在宿泊しているタンザニアのホテルでもご多分に洩れずこの2点は健在でした(苦笑)。(浦出)

1 2 3
Today's Schedule