コラム

2023-09-08 19:12:00

Africa’s Food Systems Forum (AGRF) 2023に参加して

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今週1週間にわたってタンザニアのダルエスサラームで開催された「アフリカ食糧システム・フォーラム2023」 (通称「AGRF2023」)に参加してきました。これはアフリカ全土から農林水産業関係者が一堂に会して各国の経験や知見を共有し、食糧問題の将来を議論するという毎年開催のイベントで、タンザニアからは大統領以下閣僚クラス、各国からも大臣クラスや業界団体トップのほかドナー機関なども参加している大型イベントです。

私自身は現在従事しているタンザニア農業銀行アドバイザー業務の一環として、特に農業金融に絡んだセッションを覗いてきましたが、当該分野における業界動向や関係者の関心事などについて最新状況に触れるいい機会でした。各種パネルディスカッションでは、1) Blended Finance、2) Value Chain Financeといったコンセプトや、3) テクノロジー活用の重要性に関するコメントを繰り返し耳にしました。

1)に関しては、農業が国の主要産業でありながらリスクを忌避した銀行の融資が向かいにくいことから、ドナー資金や投資家資金とセットにすることで銀行もコミットさせられるという視点が紹介されていました。VCやPEのエグジットも不十分な市場で、腰が引けた地場銀行をドナーはともかく投資家貸金が後押しするという発想は興味深いですね。

2)は農業や食品加工業、流通業をそれぞれ単体で評価するのではなく、バリューチェーンという全体観の中でリスクやポテンシャルを評価しようというもので、これは理にかなった方向性だと思います。

またこれらの動きを後押しするにあたっては、よりデータを重視した与信・投資判断が重要であり、そのためには投融資先である農家や加工・流通業者に関してビジネスの状況を正確に把握する必要が出てきます。例えば帳簿すらつけていない零細農家に目の子勘定で融資をするのではなく、スマホアプリで入力して作成された帳簿からビジネスデータを吸い上げて与信審査に活用するといった試みもあります。すなわち3)のテクノロジー活用ですね。

こうした流れに乗って、これまでバラバラで細切れだった小規模農家までをもフォーマル経済の中に取り込んでバリューチェーンに組み込んでいく上で、金融の果たせる役割もこれから益々大きくなっていくのではないでしょうか。グローバルな食料危機が注目を集める中、アフリカ各国がその受け皿となるべく覚醒しつつあるのは興味深い動きであり、今後も引続き注目していきたいと思います。(浦出)

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